読書をしない子どもに大人が伝えるべきことと伝えられる5つのこと

僕は読書が大好きだ。もっと多くの人に本を読むようアドバイスしたい。本の中には、まったく新しい世界が広がっているんだよ。旅行に行く余裕がなくても、本を読めば心の中で旅することができる。本の世界では、何でも見たいものを見て、どこでも行きたいところに行ける。

マイケル・ジャクソン

 

現代人の活字離れが唱えられ始めてから何年経ったでしょうか。16歳以上を対象にした2013年の文化庁による調査では、1ヶ月の間に1冊も本を読まない人は全体の47.5%とのことです。それに対して全国学校図書館協議会が小中高生を対象に毎年5月に行っている調査では、2016年5月の間に1冊も本を読まなかった子どもの割合は、小学生で4.0%、中学生で15.4%、高校生で57.1%となっています。実はこの数値、小学生と中学生では減少傾向にあります。高校生では2013年までは減少傾向でしたが、そこからまた上昇しています。

果たして本当に活字離れが進んでいるのかは定かではありませんが、今回のテーマは別です。「子どもが読書をしない」という相談をしばしば受けることがあります。どうすれば子どもは読書をしてくれるでしょうか。それを考える前に、まずは「読書」そのものについて考える必要があるはずです。

読書は娯楽

世間には、漠然と「読書をした方が良い」という考えがあります。小中学校の読書週間では読んだ冊数が多いと表彰されたりしたものです。また、検索サイトで「読書 効果」と調べると、

・語彙力アップ!
・集中力アップ!
・論理的思考が身につく!
・教養が身につく!
・想像力が高まる!

などと沢山のメリットが列挙されています。確かにこれらは読書の効果として科学的・統計的根拠があるようです。だから、集中して論理的に考えられる子どもになって欲しい場合、読書をさせることは理にかなっています。

しかしながら、これらのメリットを説明すれば、それで子どもが読書をするかと言うとそんなことはありません。これらのメリットをメリットだと感じられるのは大人だからこそです。読書以外にも様々な経験をして、社会と自分との客観的対比ができて、自身の向上のために語彙力を上げたい。そこまで考えられて初めて、これらのメリットがメリットとして実感できるわけです。

このような考え方は子どもにとっては理解し難いものです。子どもの周りには大人以上に沢山の「楽しみ」が広がっています。大人にとっては取るに足らない景色であっても、まだまだ世界を知らない子どもにとっては、未知の輝きに見えるはずです。そのような状況で語彙力や集中力を気にしている余裕は無いのです。読書好きな子どもが読書をする理由は他にあります。

人間、誰しも楽しいことや面白いことがしたいものです。大人では抑えてしまうこともあるその感情に、子どもはもっと素直に従います。読書好きの子どもが読書をする理由は、読書が娯楽だから。周りに広がっているスマートフォンやテレビゲームなどと比べても、本の中に詰まっている世界が楽しく面白いからです。

本の面白さは年齢や性別、時代に関係なく不変のものです。本を読んだことで生じるメリットなど無くても、大人も子どもも読書をする理由は、ただ楽しく面白いから。それだけに尽きます。

読書の魅力を子どもに伝える

ただ楽しく面白いと言っても、それを子どもに伝えることは容易ではありません。結局のところ、読書の楽しさは読書をしてみないと分からないからです。どれだけ「楽しいからやってみなさい」と言っても、それがどのように楽しいのか、どれくらい楽しいのかは子どもに伝わりません。しかし、一度楽しいことが分かれば、その後は自分から読んでいくようになるはずです。最初のハードルを乗り越えるための手伝いを考えていきましょう。

親が読書している姿を見せる

子どもは親の背中を見て育つものです。親が本を読んでいなければ、子どもは読書という文化を身近に感じることができません。家のリビングでお父さん・お母さんが読書している光景を見るだけでも、読書に対する抵抗は多少軽減されます。

間違っても、子どもが聞きもしないのに自分が読んでいる本を勧めたりしないでください。自分が面白いと思っていても、その面白さを言葉で子どもに伝えることは不可能です。あくまでも読書という行為を見せるだけにしましょう。

自分のお小遣いで本を買わせる

読書は娯楽です。娯楽にはお金を払うものです。自分のお小遣いからお金を出すことによって、買った本を読むことが自分だけの行為になります。誰からの強制でもないことが大事です。買った本を楽しむかどうかは自分次第、出したお金が有意義な使い方になるか、無駄金になるかも自分次第です。
また、本をレジに持って行ってお金を払い、カバーを着けてもらった本を受け取ることも、読書の楽しみの一つです。最初から最後まで楽しませてあげるべきでしょう。

「名作」を勧めない

学校の推薦図書に列挙されている本は、いわゆる世界的名作がほとんどです。教養として世界的名作を読んでもらいたい気持ちは理解できますが、得てして「名作」は子どもにとって退屈なものが多いです。書かれた時代が古いものが多く、読みにくい文体であったり、情景が想像しにくいこともままあります。世界的名作は、それが世界的名作であると理解できるくらい成長してから読むべきです。

ジャケ買いさせる

書店に行き、沢山の本の中から本を選ぶのは大変なことです。それも楽しみの一つではあるのですが、読書に抵抗がある場合、面白そうな本を探すことで疲れてしまい結局買えないということもよくあります。子どもは自分のお金で買うのだから、なるべく面白い本を選びたいと思うでしょう。しかしそれは難しいことなのです。

ではどうしましょうか。逆に考えましょう。駄作でもよいのです。つまらない本を読むことも一つの経験です。読書をしていれば駄作を買ってしまうことも沢山あります。運悪く最初につまらない本を買ってしまったのなら、「次は面白い本を買えばいいじゃないか」とアドバイスしましょう。

最初に買う本は勘で選ぶくらいで充分です。それこそ表紙が綺麗だったから程度で何の問題もありません。軽い気持ちで選ばせましょう。

読み切ることだけを約束する

買った本を読んでいるかどうかの確認がしたいところですが、それを聞くだけでも強制感が出てしまいます。子どもとの約束は一つだけ、読み切ることだけを約束してください。どんなに時間がかかってもいいから読み切ることが大事です。一回でも1冊読み切る経験をすれば、その後の読書への抵抗は格段に弱くなります。

途中読まない時期があっても、それも読書です。出来うる限り読書の仕方については口出ししないようにしましょう。その代わりに、読み切った日には感想をしっかり聞いてあげてください。

まとめ

正直に言うと、読書が学校の成績向上に直結するとは思えません。けれども、本の中にある世界を知らないということも望ましくありません。大人が子どもに教えてあげられることは、読書の楽しさではなく、本の中には現実とは違う種々様々な素晴らしい世界があるという事実です。それを楽しむためには、少しばかりのハードルを乗り越えなければいけません。その手伝いをしてあげることが教育ではないでしょうか。

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2017年03月03日