英語評論文の読解のススメ2 実践 -キーワード探し-

前回の内容を踏まえ、実際に入試問題に出たことのある長文を読んでみましょう。
今回から暫くの間回数を分けて、下記の長文を読んでいきたいと思います。
今回は前回のキーワード探しを第1パラグラフで行いたいと思います。

群馬大学で出た長文を使用します。著作権の関係から全文掲載は致しません。
阿佐ヶ谷塾という塾で長文が公開されているので、長文はこちらから御覧ください。

元々はTIMEに乗っていた記事となります。リンク先はここです。入試問題はこのTIMEの記事を一部抜粋したもののようです。
今回は、第1パラグラフのみ、引用という形で使いたいと思います。

The discovery of life beyond Earth would transform not only our science
but also our religions, our belief systems and our entire world view. For in
a sense, the search for extraterrestrial* life is really a search for ourselves
who we are and what our place is in the grand sweep of the cosmos.

THE HARMONY OF THE SPHERES
By PAUL DAVIES Sunday, June 24, 2001 より引用

それでは読んでいきましょう。

1: 長文のテーマ、若しくはキーワードを第一パラグラフ第一文から抜き出す。

英語の評論文はは抽象→具体という流れで進んでいきます。 その為、日本語の評論のように、重要なキーワードが後ろになって現れる構造になっておらず、大抵の場合、最初の文章に長文の主題が書かれています。 その為、以下の文章からキーワードが何かを見つけていきましょう。 The discovery of life beyond Earth would transform not only our science but also our religions, our belief systems and our entire world view. さぁ、何でしょう? まず、品詞から考えてみましょう。テーマなのですから普通に考えれば名詞です。 そのため、この文章から名詞、名詞句、名詞節のなかから選べば良いということが分かります。 更に言うと、この文章は所謂SVOなので、名詞は主語と目的語の2つしかありません。 1:The discovery of life beyond Earth 2:not only our science but also our religions, our belief systems and our entire world view. この2つ、もしくはこの中の一部がこの評論文のキーワードとなるわけです。 ここで勘が働く人はおそらく「The discovery of life beyond Earth」がキーワードだろうなと思うのでしょうが、ここでピンとこなかった場合、まずは次の文章を読み進めましょう。 For in a sense, the search for extraterrestrial* life is really a search for ourselves who we are and what our place is in the grand sweep of the cosmos. For in a sense 「なぜなら、ある意味で」という意味ですね。 はその為、この第1パラグラフの第2文は第1文の説明をしているわけです。 前の文章の説明なので、当然第1文と同じテーマが入っているはずです。探してみるとthe search for extraterrestrial* lifeがあります。 The discovery of life beyond Earth =地球を超えた場所での生命の発見でthe search for extraterrestrial* life=地球外生命体の探索なので、この2つは全く同じ内容です。 その為、この評論文のキーワードは宇宙生命体の発見であることが分かります。

おまけ:第1パラグラフを読んでみる。

前回書いた通り、文章を全て真面目の読む必要はありません。しかしながら、評論文の第1パラグラフの第1文は大抵大きな問題意識などを書く場合が多いので、読んだほうが無難でしょう。 このパラグラフは第2分までしかないですが、第2文を読むか否かは第1文を読んでから決めましょう。では第1文を読みます。 The discovery of life beyond Earth would transform not only our science but also our religions, our belief systems and our entire world view.

1:キーワードは重要なので、分かるようにする。

例えば色付きのペンなどで、何がキーワードか分かるようにしましょう。今回キーワードは紫で塗ることにします。

2:論理構造がはっきりするイディオムが出た場合、後ろを推測する。

この文の場合、not only という単語が出てきます。我々は not only A but also Bというイディオムを知っています。 つまり、この文章の場合、our science, our religions, our belief systems と our entire world viewの4つは全て並列であることが分かります。 並列になっているものは、重要度が同じです。分かるように線を引きましょう。 また、not only but also のように論理的な流れを誘導する単語やイディオムは色を塗りましょう。今回論理的なものは赤で塗ることにします。

3:would にも注意する

今回の動詞はwould transform となっており、推測の助動詞のwouldがあります。wouldはwillに比べると弱い意味合いがあるため、それほど確定的な推論ではないことを意味しています。 弱い推論ということで、水色の線で塗っておきましょう。本当ならば、would以降のすべての文章を水色で下線を引きたいところです。

4:左から右に読む

日本語:地球外の生命の発見が変えるのは、我々の科学だけではない、宗教、信念の形、世界観全てもである。 という感じでしょうか。つまり、地球外の生命の発見は我々の常識などを変えるほどすごい事だということが言いたいようです。

5:疑問を持ち、次に得るべき情報を考える

第一文を読んだ限り、地球外生命体が発見されると、色々な常識が変わるらしいです。 ここで、疑問が生まれます。「何故、科学や宗教、世界観が変わるほど、地球外の生命の発見がすごいことなの?」という疑問です。 上で書いた通り第2文のFor in a sense 「なぜなら、ある意味で」という意味なので、第2文に恐らく「何故すごいことなのか」の理由が書いているだろうことが推測できます。

6:流し見てチェックするだけにするか、きちんと読むか決める。

前回、評論文には「お約束のテーマがある」という話をしました。実は理系英語の評論文では生命や地球外生命というのは、その「お約束」の1つです。 その為、過去に他の評論文を読み、地球外生命体の発見についてあなたが知識を得ている場合、この文章でも、過去の評論で得た知識が使える可能性があります。 もし、読み手であるあなたが、上の問い対して答えを予想している場合、第2文をまじめに読む必要はありません。ばっと文章の流れを見て、自分が思ってる答えと同じかどうかチェックしましょう。 思った通りの答えなら、読む必要はないでしょう。 もし、何故すごいのか予想がつかないならば、読みましょう。第一文の重要性の理由が書いてあるので、第1文同様重要です。 これが「きちんと読むかどうかは読者の必要による」という意味です。 評論文の場合、読み手の知識量により、文章の難易度が大きく変化します。自分の知識量に応じて、楽ができる部分は楽をしましょう。 For in a sense, the search for extraterrestrial* life is really a search for ourselves who we are and what our place is in the grand sweep of the cosmos. reallyとわざわざ強調しているのでreally以降には強調の線を引きましょう。 先程のwould transform とは異なり、こちらは作者が強く主張していることを表しています。 日本語:何故ならば、ある意味地球外生命の探索が本当に探しているのは我々自身である、それは我々自身が誰で、何処にいるかということである-この広い宇宙の中で。 要は、地球外生命を発見するということは、我々が何なのかを知ることと等しいということのようですね。 「何故地球外生命体の発見が我々自身が何者なのかの発見と同じなのか?」という疑問が生まれます。 この答えは来週進む第2パラグラフ以降に書いてあるはずです。

まとめ:第一パラグラフからキーワードを探す。

今週はここまでです。 やったことを纏めると ・キーワードを探して分かるようにする。 ・論理展開をする単語やイディオムを分かるようにする。 ・強調や弱い主張などをする単語はチェックする。 です。第1パラグラフは2文しかない上に、共に重要度の高い文章だったために線とマーカーだらけになってしまいましたが、次回以降は 来週は、ざっと文章全体の流れを把握した後、この疑問の答えを第2パラグラフ以降に探していく事になります。 それではまた来週お会いしましょう。

合わせて読みたい

英語評論文の読解のススメ3 2項対立の把握

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