苦手な英訳問題をシステマティックに考えよう!【基本5文型編】

 

はじめまして。個別指導塾WAYS 高田馬場教室 講師の加藤です。本日から2週に一回、水曜日のブログを担当します。様々な情報を発信していこうと思いますので、よろしくお願いします!

 

さて、皆さんは英文法が得意でしょうか?
一口に英文法と言っても様々な問題がありますね。選択問題や穴埋め、和訳や発音まで。中高生の皆さんはそれら全てを解いていかなければなりません。その中でも特に苦手な問題は英訳問題ではないでしょうか。
選択も穴埋めも和訳もできるのに英訳だけはできない!
英訳問題はテストでも最後の問題としてよく出てくるはずです。配点も往々にして大きいです。
最後の英訳が解けてればもっと点数が伸びたのに!
もしくはどうせ解けないから始めから無視する。
そんな経験は誰しも持っているのではないでしょうか。

安心してください。英訳問題は他の問題と考え方が違うのです。逆に言えば、考え方がしっかりできていればあとは自分自身の単語力・文法力次第とも言えます。

この記事ではまず基本的な文型について例文を用いて解説していきます。
今回の例文は、

『吾輩は猫である。』

日本人なら知らない人はいないですね。これを英訳していきましょう。え?簡単すぎる?中1の最初に習う?
はい。その通りです。”I am a cat.”です。一瞬で分かる人がほとんどかと思います。しかしながら、なぜ『吾輩は猫である。』が”I am a cat.”になるのか。どのようなプロセスを辿ってその訳に行き着いたのか。細かく説明できる人は少ないのではないでしょうか。なにせこんなに簡単な文なのですから。

今回はそのプロセスを解説していきます!

 

1.日本語を英語にするということ
英訳を考え始める前に、まずは「翻訳」そのものについて少し考えてみましょう。
翻訳とは日本語で書かれている文を他の言語で意味が伝わるように書き換えることです。では、何をもって意味が伝わったと言えるのでしょうか。英訳ならば、日本語の単語一つ一つを同じ意味の英単語に換えれば良いのでしょうか?

吾輩→I
猫→a cat
~は…である→am(be動詞)
よって”I am a cat.”

英訳できてしまいましたね。

では次の文はどうでしょうか。
『猫が欲しい。』
同じやり方でやってみましょう。

猫→a cat
~が欲しい→want
よって”A cat wants.”

これで良いでしょうか。そんな訳ないですよね。これでは『猫は欲しい。』になってしまいます。なぜ今のやり方では上手く行かなかったのでしょうか。

実は英訳とは、単語ごとに日本語を英語に変換していく行為ではないのです。なぜなら日本語には日本語のルールが、英語には英語のルールがあるからです。英訳問題となるとそれを失念してしまう人は多いと思います。英単語に変換するだけで上手く行く場合もあるからです。

しかし必ずその方法ではできない問題が出てきます。その時に今までのやり方で解けない!だから英訳は難しい!
そうなってしまわないように、もう一度文の「要素」を細かく見直しましょう。

 

2.主語と動詞の重要性
どんな言語であっても一番重要なのは主語です。『猫である』だけでは一体何が猫なのか分かりません。それが、『吾輩は猫である』と「吾輩は」という主語があることによって初めて文として意味が伝わるのです。
「主語を書いて初めて文になる」くらいに考えましょう。

また、日本語の文は基本的に4種類しかありません。

『何はなんだ』
『何はどうする』
『何はどんなだ』
『何はある/いる』

「何は」が主語でしたね。それに対して「なんだ」、「どうする」、「どんなだ」、「ある/いる」は全て述語です。日本語は述語によって文の種類が決まるのです。

では英語はどうでしょうか。5文型というのがありましたね。

“SV”
“SVC”
“SVO”
“SVOO”
“SVOC”

“S”は主語、”V”は動詞、”C”は補語、”O”は目的語です。忘れてしまった人はもう一度復習しておきましょう。
日本語が4種類なのに対して英語は5種類です。一体どれに換えれば良いのでしょうか。分かりにくいですね。

実は最初にそれを考えてしまうから分かりにくくなっているのです。
ここで注目すべき点は“S”“V”どの文型であっても主語と動詞があるということです!

日本語には主語と述語、英語には主語と動詞。この2つを最初に押さえてしまうのが最善のやり方です。

  1. 和文の主語を探して英語に換える
  2. 和文の動詞を探して英語に換える
  3. SVの順番に並べる

都合の良いことに英語は最初にSVと並んでいます。ここまで書いてしまえば文の意味が大きく変わってしまうことはないはずです。

  1. 1.主語を探す…「吾輩は」→”I”
  2. 2.述語を探す…「猫である」→「猫だ」→「~は…だ」→”am”(be動詞)
  3. 3.SVの順番に並べる…”I am”

 

3.文型を決める
SVまでは書けました。いよいよ次は文型です。ここから少し難しくなります。

まずは『何はなんだ』タイプの和文です。これは今回の例文と同じですね。『吾輩は猫である。』です。このタイプは”SVC”になります。英文の”SVC”で生じる主語S=補語Cと同じことが、和文でも主語=述語として生じるからです。
よって前項でのSVの後には、Cを表す名詞か形容詞が入ります。今回は主語=述語、吾輩=猫なのでCは”a cat”になります。

『吾輩は猫である。』→我輩=猫→主語=述語→S=C→”SVC”→”I am a cat.”

また、『何はどんなだ』タイプの文も全く同じ考え方ができます。

『彼は元気だ。』

  1. 1.主語を探す…「彼は」→”he”
  2. 2.述語を探す…「元気だ」→「~は…だ」→”is”(be動詞)
  3. 3.SVの順番に並べる…”He is”

『彼は元気だ。』→彼=元気→主語=述語→S=C→”SVC”→”He is fine.”

補語Cについて補足すると、Cになれるのは名詞と形容詞です。基本的には日本語の名詞は英語でも名詞に、日本語の形容詞・形容動詞は英語では双方とも形容詞になります。

これにてテーマ文の和訳は完了しました。しかしまだ足りませんね。ここからは他にも例文を挙げて解説します。

次は『何はどうする』タイプです。これは”SV”、”SVO”、”SVOO”、”SVOC”のどれかになります。見分ける方法は主語と述語を離れ、修飾語に移ります。

  • A…『私は走る。』
  • B…『私は英語を勉強する。』
  • C…『私は彼に手紙を送る。』

まずはAの例文から。これは前章の内容で完結する文です。

  1. 1.主語を探す…「私は」→”I”
  2. 2.述語を探す…「走る」→”run”
  3. 3.SVの順番に並べる…”I run.”

このように”SV”の文は主語と述語を並べるだけです。簡単ですね。
ではB、Cの例文はどうでしょうか。とりあえずは主語と述語を見つけてSVと並べます。

・B

  1. 1.語を探す…「私は」→”I”
  2. 2.述語を探す…「勉強する」→”study”
  3. 3.SVの順番に並べる…”I study”

・C

  1. 1.主語を探す…「私は」→”I”
  2. 2.述語を探す…「送る」→”send”
  3. 3.SVの順番に並べる…”I send”

ここまでは大丈夫でしょうか。では残った文節を列挙してみましょう。

B…「英語を」
C…「彼に」、「手紙を」

何か共通点は見つかるでしょうか。
実は、これらは全て述語を直接修飾しているのです!修飾語を英語にする際の第一歩は「述語を修飾しているかどうか」。これを必ず押さえましょう。
ここで一旦Aの文に少し言葉を付け足します。

A’…『私はゆっくりと走る。』

Aの英訳”I run.”から足りない部分は「ゆっくりと」です。修飾語はまず「述語を修飾しているかどうか」でしたね。どうでしょうか。もちろん「ゆっくりと」は「走る」を修飾、つまり述語を修飾しています。

ところが、A’の「ゆっくりと」はB、Cで残っている修飾語とは決定的な違いがあります。
それは「述語の動作の対象を表しているか」という点です!

B…「英語を」は「勉強する」の対象を表す
C…「彼に」と「手紙を」は「送る」の対象を表す

これら対象を表す修飾語を、英語では目的語Oと言います。目的語Oになれるのは名詞のみです。よく見てみると「英語を」、「彼に」、「手紙を」は全て「名詞+格助詞」の形になっていますね。それに対して「ゆっくりと」は状態を表す副詞です。日本語の副詞は英語でもほぼ副詞になります。目的語Oになれるのは名詞のみ、補語になれるのは名詞と副詞ですから、副詞「ゆっくりと」が文型に影響を与えるOとCになることはありえないのです!

よってA’の文は
“I run slowly.”
となり、文型としては”SV”のままです。

さて、少し寄り道しましたが、BとCの違いはなんでしょうか?
両方とも動作の対象を表す修飾語(目的語)がありますね。違いとしてはBが1つに対してCは2つあるということです。これをそのまま目的語の数と考えましょう。するとBは目的語が1つなので”SVO”、Cは目的語が2つなので”SVOO”となります。

・B
「英語を」は「勉強する」の対象を表す→「英語を」は目的語になる→目的語が1つ→”SVO”→”I study English.”

・C
「彼に」と「手紙を」は「送る」の対象を表す→「彼に」と「手紙を」は目的語になる→目的語が2つ→”SVOO”→”I send him a letter.”

日本語では目的語も修飾語の括りになります。述語の動作の対象を表すこと、「名詞+格助詞」の形になることを意識しましょう!

さて、出てきていない文型は遂に”SVOC”の一つだけです。ここまで来ればあと少しです。最後の例文も頑張って考えていきましょう。

D…『私は彼をトムと呼ぶ。』
E…『私は窓を開いたままにしておく。』

最初は主語と述語です。

・D

  1. 1.主語を探す…「私は」→”I”
  2. 2.述語を探す…「呼ぶ」→”call”
  3. 3.SVの順番に並べる…”I call”

・E

  1. 1.主語を探す…「私は」→”I”
  2. 2.述語を探す…「おく」→「~のままにしておく」→”keep”
  3. 3.SVの順番に並べる…”I keep”

両方とも『何はどうする』タイプです。お分かりかと思いますが、DもEも”SVOC”の文になります。
その説明の前に一つおさらいです。目的語Oは名詞のみ、補語Cは名詞と形容詞。これを頭に入れて残っている文節を考えましょう。

D…「彼を」、「トムと」
E…「窓を」、「開いた」

「彼を」と「窓を」は述語の動作の対象かつ「名詞+格助詞」の形ですね。つまりこれらが目的語Oになります。
「トムと」はどうでしょうか。「名詞+格助詞」の形ですが、「と」は対象を表す格助詞ではありません。さらに「開いた」は「開く」の連用形に完了を表す助動詞「た」がついた状態です。なんだか複雑ですね。日本語的にも難しくなってきました。

そこで目線をずらして”SVOC”のポイントを考えます。”SVC”ではS=Cでしたが、”SVOC”ではO=Cが成り立ちます。
Dの文では「彼」=「トム」が、Eの文では「窓」=「開いた」が成り立ちます。
実は”SVOC”については品詞を考えるよりも、各文節の意味自体を考えた方が分かりやすいのです。今までは文節の役割や品詞から細かく考えていました。その考え方が通じる範囲では絶対に細かく考えた方がベターです。ただし”SVOC”のようにそれが通じない場合、一度文節や文の意味に立ち返って考える必要があるのです。この考え方の転換が”SVOC”を難しく感じる要因の一つかも知れません。

・D
「彼を」は「呼ぶ」の対象を表し、「彼」=「トム」が成り立つ→O=C→”SVOC”→”I call him Tom.”

・E
「窓を」は「~のままにしておく」の対象を表し、「窓」=「開いた」が成り立つ→O=C→”SVOC”→”I keep the window open.”
(”open”は開いた状態という意味の形容詞)

“SVOC”は述語の動作の対象を探し、O=Cが成り立つかを確認しましょう!

 

4.まとめ
ここまで駆け足で基本5文型の英訳のプロセスを見てきました。かなり長くなってしまいましたので、以下にポイントをまとめます。

 

  1. 1.和文の主語を探して英語に換える
  2. 2.和文の動詞を探して英語に換える
  3. 3.SVの順番に並べる
  4. 4.和文の述語から、『何はなんだ』、『何はどうする』『何はどんなだ』のどのタイプかを考える
  5. 5. ・『何はなんだ』、『何はどんなだ』→主語=述語→S=C→”SVC”
     ・『何はどうする』→述語の動作の対象(目的語)があるかを探す
      ない→”SV”
      1つある→”SVO”
      2つある→”SVOO”
      1つあるが、同時にO=Cが成り立つ→”SVOC”

 

いかがだったでしょうか。今まで簡単に英訳できていた文でも、これだけのプロセスがあって英語に変換されていたのです。
これからは同じ意味の英単語を並べていくのではなく、今回示したシステムに則って英訳していきましょう。たとえ難しい英訳問題が出てきたとしても、今回説明したシステムならば手も足も出ないことはないはずです。また、日本語の文法も重要だと分かっていただけたと思います。文節に分けて、主語・述語・修飾語に分類するなどは、中学生の最初に習う文法です。国語に関してもしっかりと復習しておく必要がありますね!

今回の解説ではまだ全ての文に対応できるわけではありません。あくまでも基本となる5文型のみの解説です。次回はもう少し高度な文の英訳を考えていきましょう!

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2017年01月18日